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正倉院宝物の漢方薬

奈良国立博物館では、『御即位記念第71回正倉院展』が始まりました。
正倉院宝物は、日本における漢方薬の歴史にも大きく影響しています。
正倉院には、約9000点もの聖武天皇の遺愛品、東大寺の寺宝や文書など、7~8世紀の優れた東洋文化を伝える宝物が、納められています。
天平勝宝8年(756年)、聖武天皇の七七忌(四十九日)に、光明皇后は、天皇遺愛の品々(調度品・楽器・遊戯具・武具・装身具など)を東大寺の盧舎那仏(大仏)に献納しましたが、天皇の遺愛品とは別に薬物も納めました。
「東大寺献物帳」のなかの一巻に、献納した60種類の薬物名と、その数量および質量などが列記されています。「盧舎那仏に奉る種々薬」と題されていて「種々薬帳」と呼ばれています。 
巻末には、「病に苦しんでいる人のために必要に応じて薬物を用い、服せば万病ことごとく除かれ、千苦すべてが救われ、夭折(ようせつ)することがないように願う」といった願文が記載されています。実際に、願いどおり薬物は持ち出されて病人を救うために役立てられたようです。
 皇后は人々への慈愛心が強く、貧しい病人に施薬や施療をするための施薬院(せやくいん)や、貧窮者や病人、孤児などを救うための悲田院(ひでんいん)を創設しました。仏教に深く帰依し、東大寺大仏造立を成し遂げた天皇が大仏開眼からわずか4年で崩御されたため、皇后はたいそうお悲しみになりました。
もともと、体が丈夫でなかった天皇を心配してさまざまな薬物を揃えていました。植物をはじめ珍しい動物や鉱物などを、唐や新羅、東南アジアなどからも取り寄せていたことをうかがい知ることができます。
 「種々薬帳」に記載されている60種類のうち、約40種類が正倉院に現存し、約1250年前の薬物として、他に例をみない貴重な資料とされています。

当店では、普段より、正倉院に宝物として伝わる薬物のうち、現在でも漢方薬原料として使われる生薬を、展示しています。
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『種々薬帳』
種々薬帳01

種々薬帳02_s

盧舎那仏に奉る種々薬

第一櫃
 1 麝香(ジャコウジカの雄の香のう分泌物)
 2 犀角(サイカク・インド産クロサイの角)
 3 犀角(サイカク・インド産クロサイの角・犀角の記載2つあり)
 4 犀角器(サイカクキ・犀角でつくった盃)
 5 朴消(ボウショウ・含水硫酸ナトリウム)
 6 ずい核(ズイカク・バラ科の成熟した果実の種子)
 7 小草(ショウソウ・中国産の遠志をいうが現存品はマメ科植物の莢果)
 8 畢撥(ヒハツ・インド産ナガコショウ)
 9 胡椒(コショウ・インド産コショウ)
10 寒水石(カンスイセキ・方解石(炭酸カルシウムの結晶))
11 阿麻勒(アマロク・亡失したがコショウ科アムラタマゴノキの果実と考えられている)
12 菴麻羅(アンマラ・トウダイグサ科アンマロクウカンの果実片、種子)
13 黒黄連(コクオウレン・現存)
14 元青(ゲンセイ・亡失のため不明)
15 青しょう草(セイショウソウ・亡失)
16 白及(ハクキュウ・ラン科シランの球根)
17 理石(リセキ・繊維状石膏・含水硫酸カルシュウム)
18 禹余粮(ウヨリョウ)
19 大一禹余粮(ダイイチウヨリョウ)
20 竜骨(リュウコツ・哺乳動物の骨の化石)
21 五色竜骨(ゴシキリュウコツ・化石生薬・亡失)
22 白竜骨(ハクリュウコツ・化石鹿の四肢骨)
23 竜角(リュウカク・化石鹿の角)
24 五色竜歯(ゴシキリュウシ・ナウマン象の第三臼歯)
25 似竜骨石(ニリュウコツセキ・化石生薬 化石木)
26 雷丸(ライガン・サルノコシカケ科ライガン菌)
27 鬼臼(キキュウ・ユリ科マルバタマノカンザシの根茎・現在はメギ科ハスノハグサ)
28 青石脂(セイセキシ)
29 紫鉱(シコウ)
30 赤石脂(シャクセキシ)
第二櫃
31 鍾乳床(ショウニュウショウ)
32 檳榔子(ビンロウジ・ヤシ科ビンロウの種子)
33 宍(肉)縦容(ニクジュヨウ・ハマウツボ科ホンオニク)
34 巴豆(ハズ・トウダイグサ科の種子)
35 無(没)食子(ムショクシ)
36 厚朴(コウボク・現在はモクレン科ホウノキ属だが現存品は別物のようである)
37 遠志(オンジ・ヒメハギ科イトヒメハギの根)
38 呵(訶)梨勒(カリロク・カラカシ・シクンシ科ミロバランノキの果実)
第三~五櫃
39 桂心(ケイシン・クスノキ科ニッケイの樹皮)
第六~八櫃
40 芫花(ゲンカ・フジモドキの花蕾)
第九~十一櫃
41 人参(ニンジン・ウコギ科コウライニンジンの根)
第十二~十四櫃
42 大黄(ダイオウ・タデ科ダイオウの根茎)
第十五・十六櫃
43 臈蜜(ミツロウ・トウヨウミツバチの蜜蝋)
第十七~十九櫃
44 甘草(カンゾウ・マメ科カンゾウの根)
第二十櫃
45 芒消(ボウショウ・含水硫酸マグネシウム)
46 蔗糖(ショトウ・イネ科サトウキビの茎から得られる、いわゆる砂糖)
47 紫雪(シセツ・鉱物八種の配合剤)
48 胡同律(コドウリツ・樹脂の乾燥物)
49 石塩(セキエン・塩化ナトリウム)
50 い皮(イヒ・ハリネズミの皮)
51 新羅羊脂(シラギヨウシ)
52 防葵(ボウキ・現在はツヅラフジ科シマサスノハカズラだが亡失のため不明)
53 雲母粉(ウンモフン)
54 蜜だ(陀)僧(ミツダソウ)
55 戎塩(ジュエン)
56 金石陵(キンセキリョウ)
57 石水氷(セキスイヒョウ)
58 内薬(ナイヤク・亡失して不明)
第二十一櫃
59 狼毒(ロウドク・亡失して不明だが、サトイモ科クワズイモの根茎、トウダイグサ科マルミノウルシの根、ジンチョウゲ科の根など考えられて)いる
60 冶葛(ヤカツ・断腸草あるいは胡蔓藤のクマウツギ科)

署名の前、光明皇后による文章

「以上は堂内に安置し、盧舎那仏に供養す。若し病苦に縁りて用うべきもの
あらば、並びに僧綱に知らせて後、充て用うることを聴さん。伏して願わく
は、この薬を服する者、万病悉く除かれ、千苦皆救われ、諸善成就し、諸悪
断却し、業道に非ざるよりは長じて夭折するなく遂に命終の後、(蓮)花蔵世
界に往生し、盧舎那仏に面し奉らしめ、必ず遍法界位を証得せんと欲する」
柴田承二氏論文『正倉院薬物とその科学的調査』より
光明皇后は、これらの薬を、誰でもが使えて、そしてこのお薬を使った人が
皆快癒し幸せな人生を送り、死後も極楽へ行けるように願っています。
種々薬帳全面に、天皇の御璽(ぎょじ)が押されています。

天平勝宝八歳六月二一日

署名

藤原朝臣仲麻呂従二位行兼紫薇令中衛大将近江守
藤原朝臣永手従三位左京大夫兼侍従大倭守
巨満朝臣福信従四位上行紫薇少弼兼中衛少将山背守
賀茂朝臣角足紫微大忠正五位下兼行左兵衛率左右馬監
葛木連戸主行紫微少忠
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甘茶(あまちゃ)

今年も、甘茶(あまちゃ)の新茶が、入荷しました。

甘茶パンフレット_表A420170320

【灌仏会(かんぶつえ)】
釈迦の誕生日(4月8日頃もしくは5月)に行う行事で花祭、降誕会とも呼びます。
甘茶を潅(そそ)ぐということから潅仏会と呼ばれています。花御堂の中に、あかちゃんの姿のお釈迦様の像(誕生仏)を祭って、その頭上から柄杓で甘茶をかけます。
参詣者は甘茶を家に持ち帰って飲み、一家の息災延命を願います。
日本では仏教伝来してまもなく推古天皇の頃始められたといわれ、約1400年の歴史があります。

甘茶(あまちゃ)は、ユキノシタ科の落葉低木ガクアジサイの変種であるアマチャ(学名:Hydrangea macrophylla var. thunbergii)
また、その若い葉を蒸して揉み、乾燥させもの、およびそれを煎じて作った飲料です。
飲料としての甘茶は、黄褐色で甘みがあり、灌仏会(花祭り)の際に仏像に注ぎかけるものとして古くから用いられました。
一方、長野県佐久地方では甘茶を天神祭や道祖神祭等で御神酒の代用として使う風習があります。
甘茶の甘味成分としてフィロズルチン(d-phyllodulcin)とイソズルチンを含みます。
苦味成分としてタンニンを含みますが、カフェインは含まれません。
生薬としては、抗アレルギー作用、歯周病に効果を有します。(日本薬局方に収載)
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長野県産の「手もみ甘茶」は、手もみ独特の不揃いで無骨な茶葉ですが、その製造方法故の、奥深い甘さと風味、こくが特徴です。

■急須・サーバー等で作る場合
①甘茶3グラム(一つまみ)に沸騰した湯300mlを注ぐ。
②1分ほど蒸らしてから、湯飲みに注いで、お召し上がりください。

■沢山の甘茶を作る場合は
①湯1リットルに対して、甘茶10グラム程度を用意します。
②沸騰した湯に甘茶を入れて火を止め、2分程度蒸らして、甘茶を引き上げてください。

【注意】
甘茶を煎じると甘み成分のフィロズルチンが発生し甘さを感じますが、長時間煮詰めるとフィロズルチンから渋味成分のタンニンが多く出て渋味、えぐ味を感じ出しますので注意して下さい。

【保存方法】
直射日光を避け、湿気の少ない涼しい場所に 保管してください。
特に開封後の保管は冷暗所をお奨めします。
開封後は賞味期限に関わらずできるだけ早くご使用ください。

熊胆(ゆうたん、ユウタン)、熊の胆(くまのい)

熊胆(ゆうたん、ユウタン)、熊の胆(くまのい)

先日、お客様のご要望で、熊胆(ゆうたん)の原型をお預かりして、捌(さば)きました。
熊の胆嚢(たんのう)を、乾燥させたものを、漢方で熊胆(ゆうたん)といいます。
「くまのい」とも呼ぶので、しばしば「熊の胃」と思われる方も多いようですが、本来は熊の胆汁が入ったままの胆嚢です。
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当て布をして、木槌などで叩いて粉砕し、中身を取り出して、乳鉢で擂(す)ります。

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大人(15歳以上)は1回量0.1g ~ 0.2g、1日1~3回、食前または食間に服用する。
杯「さかずき」に湯を入れ一回量の熊胆を溶かし服用します。
苦みが強いので、そのままオブラートに包んでもても可。
良薬口に苦しです。

熊胆は、古い文書には「小児の五疳を主治し、虫を殺し、悪瘡を治す」とあり、神農本草経にも収載されています。

漢方生薬の熊胆は、駆除したクマから、丁寧に胆嚢を取り出し、これを冬期間陰干しして、ある程度固まり柔らかさのあるうちに、ガラス板などで挟んで圧縮して、さらに陰干しすると、硬く固まります。

以下Wikipediaによると
日本薬局方においては、「Ursus arctos Linne 又はその他近縁動物(Ursidae)の胆汁を乾燥したもの」がユウタンと定義され[12]、日本国内ではエゾヒグマとニホンツキノワグマが用いられています。

医薬品医療機器等法(旧薬事法)に基づき、熊胆の販売・譲渡は、薬務行政から正式な認可・承認を受けることが必要となる。また、原料として薬務行政から熊胆に関連する製造・配合などの許可を受けている仲買・製薬業者への販売・譲渡は、クマから取り出した状態のままでの水洗い及び単純乾燥の販売・譲渡に限り認められている。

ツキノワグマやヒグマなど全てのクマ科はワシントン条約により規制されており、カナダ・ロシアなどの輸出国による輸出許可書がない限り国際取引は禁止されている。 海外旅行での取得の際には輸出国で所定の手続きを取らねばならないとされている

主成分は胆汁酸代謝物のタウロウルソデオキシコール酸である。
この他、各種胆汁酸代謝物やコレステロールなどが含まれている。

熊胆の効能や用法は中国から日本に伝えられ、飛鳥時代から利用され始めたとされる熊の胆は、奈良時代には越中で「調」(税の一種)として収められてもいた。江戸時代になると処方薬として一般に広がり、東北の諸藩では熊胆の公定価格を定めたり、秋田藩では薬として販売することに力を入れていたという。熊胆は他の動物胆に比べ湿潤せず製薬(加工)しやすかったという。

熊胆配合薬は、鎌倉時代から明治期までに、「奇応丸」、「反魂丹」、「救命丸」、「六神丸」などと色々と作られていた(現代は、熊胆から処方を代えている場合がある。理由は後述)。また、富山では江戸時代から「富山の薬売り」が熊胆とその含有薬を売り歩いた。

Job's Tears(ハトムギ・薏苡仁)

Job's Tears(ハトムギ・薏苡仁)
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Other Common Name:Adlay,Coix seeds,
japanese:ハトムギ(Hatomugi),ヨクイニン(Yokuinin)

Scientific Name:
Coix lachryma-jobi
Botanical Family:Poaceae

Parts of the plant used:
The fruits (“seeds”), leaves, and root

How is it used?
The leaves, root, and seed can be decocted and taken as a tea or used externally as an antiseptic wash. The seed is edible and has nutritional value .

What is it used for?


This member of the grass family is native to Southeast Asia and has been used for centuries in Traditional Chinese Medicine (TCM), as well as Ayurvedic medicine of India, as a nutritious foodstuff and mild sedative, as well as for the treatment of a plethora of health conditions including: diabetes, rheumatism, menorrhagia, diarrhea, warts, urinary problems, puerperal fever, chronic enteritis, intestinal parasites, various types of cancer (especially lung and intestinal), tuberculosis, musculo-skeletal pain, swelling, and endocrine dysfunctions. A decoction for the seed is also used to bathe newborns to prevent disease.
In the three main medical systems of India (Ayurveda, Siddha, and Unani-Tibb), the leaves are decocted and taken as a tea for the treatment of diabetes and rheumatism. The root is also decocted for the treatment of dysentery, intestinal parasites, gonorrhea and menstrual problems.
In India, a tea made from the leaves is used to induce fertility in women. The seeds contain active compounds that are used to stimulate ovulation, and the seed extract possess anticancer properties.

A study on the tropical island of Mauritius was designed to record, document, and assess animal as well as herbal-based therapies used for the treatment and management of pain. The data was obtained from traditional medicine users as well as practitioners by means of via face-to-face interviews. The results showed that Job’s tears was one of the plants most used for the treatment of lower back pain.
Hepatocellular carcinoma (HCC) is the fifth most prevalent malignant tumor in men worldwide and the second most frequent cause of cancer related mortality. Kanglaite® (KLT) is an injectable proprietary lipid substance extracted from the seeds of the graminaceous plant commonly known in China as Yi yi ren (Coix lacryma-jobi or “Job’s tears”). There is certain evidence that the medical use of the seed and its extracts has a beneficial effect for the treatment of cancer metastasis, as well as other disorders including hypertension, arthritis, asthma, and immunological problems. The present study also demonstrated that KLT significantly inhibited tumor growth in mice transplanted with HepG2 cells. For this reason, the authors of the study proposed that treat-ment with KLT may enhance the immune system of patients affected with HCC.
Certain products containing some of the bioactive ingredients in Job’s tears are currently used therapeutically to combat cancer. A proprietary product known as Kanglaite® (KLT), is an injectable preparation widely used for cancer treatment in China. KLT possesses an inhibitory effect on various types of tumors. It is also known that the signaling pathway, known as PI3K/Akt/mTor, encourages cell survival, proliferation, and progression in cancerous cells. For this reason, Liu et al.studied the effects of KLT on the PI3K/Akt/mTOR pathway in pancreatic cancer xenografts in mice, and evaluated its potential as a therapeutic agent against cancer. The results of the study suggested that KLT can suppress growth and induce apoptosis (programmed cell- death) of pancreatic cancer xenografts. Additionally, KLT can downregulate the expression of phospho-Akt and phospho-mTOR to modulate the PI3K/Akt/mTOR signaling pathway. The authors suggest that targeting this pathway may lead to the development of novel therapeutic options for various human cancers.

店内の健康茶サービスは、冷たい焙じはとむぎ茶を、用意しています。

5月から、店内の健康茶サービスは、冷たい焙じはとむぎ茶を、用意しています。

焙じはとむぎ茶ポップ20170526



健康茶サービスコーナー


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